Person

本質に迫る、たゆまぬ歩み。

共同通信社で働く人01
震災で託された家族の思いを胸に、
私は記者として成長し続けたい。
一般記者
高野 舞
本社 編集局 社会部
2012年入社
profile

小さい頃から文章を書くのが好きで、社会問題にも興味を持っていました。特に、貧困や格差の問題に関心があり、大学入学時にはすでに記者になるという目標を固めていました。共同通信社を選んだのは、全国の多くの新聞社やテレビ局が加盟しており、大きな発信力があると思ったからです。47都道府県はもちろん、海外にもたくさん拠点があり、より幅広い視点から取材ができそうだという期待もありました。また、入社前に共同通信社でアルバイトを経験し、自由で、アットホームな社風に魅力を感じたことも志望理由となりました。

works

「必ず伝えてほしい」。2016年の熊本地震発生直後、現地で行方不明の子どもを探すご家族の取材をした時のことが心に残っています。子どもがいると思われる場所は、当時まだ捜索されていないエリアでした。ご家族は混乱を極めた状況にもかかわらず、避難場所であった役場の片隅で懸命に震災の様子や捜索を求める思いを語ってくださいました。そして最後に、絞り出すような声で、冒頭のメッセージを私に託してくださったのです。その後、ご家族のことは現場の関係部署にも広く伝わり、捜索が開始されることになりました。「ただありのままを伝えるのではない。そこに生きる人々の思いを、極限状態の中で託された願いを、できるだけ多くの人に知ってもらうために伝える。それが私の仕事なのだ」。今思い返せば、記者としての責任の重さと、伝えていく意義を強く感じたこの体験が、仕事への向き合い方を方向づけることになったのだと思います。それは、肩書や役職に関係なく、どんな人であっても真摯に、謙虚に向き合うという姿勢。「今この人は、他者からは想像できない苦しみや大変さを感じているのかもしれない。それなのに、自分のために時間を取って取材に応じていただいている」。そのことに感謝しながら、お話を伺うことを心がけています。

vision

現在私は、労働問題に関する取材を担当しています。なぜ賃金格差や雇用形態による待遇格差の問題が起こるのか、なぜ過労死が増えているのか、なぜパワーハラスメントは減らないのか、職場はジェンダーの問題にどう向き合えばいいのか...。労働行政を取り仕切る厚生労働省への取材はもちろん、労働組合やさまざまな現場で働く方々にも直接話を聞きに行きながら、どこに問題の根幹があるのか、改善のための処方箋は何なのかを探り、社会について何かを考えるきっかけになるような記事を書くべく奮闘しています。そんな私が目指すビジョンは、真偽の不確かな情報が氾濫する今だからこそ、より深く、根気よく取材し、強い「ファクト」を提示できる記者になること。光が当たらない所で苦しんでいる人に焦点を当て、世に問い、社会をよりよいものへと変えていこうという気概を忘れず、成長し続けていくことが私の目標です。

message

記者は、名刺一枚でさまざまな人に会えますし、一般の方が立ち入れない現場にも足を運べますし、社会が動いていく瞬間を目の当たりにすることができます。もちろん大変な面もありますが、記者ほどやりがいのある、楽しい仕事はないと思っています。少しでも興味があれば、ぜひチャンレンジしてほしいですね。

other person
一般記者(政治部)植田 純司 写真・映像記者 松崎 未来