共同通信社ニュース特集「バンクーバー五輪」

長野五輪(1998年2月7日~2月22日)

感動の16日間に幕  金5個で日本に活力

大輪の花火と閉会式場

閉会式会場の夜空を彩る大輪の花火

 「私たちのふるさとはこの地球」―。大合唱が響きわたり、冬空に吸い込まれた。選手らの顔が並ぶ。穏やかな表情が、戦いを終えた時を伝え、20世紀最後の冬季五輪、第18回冬季オリンピック長野大会は22日閉幕した。

 閉会式は午後6時から、長野市の南長野運動公園で行われ、式典の中で五輪旗が、21世紀への「地球平和」の願いとともに、次回開催地の米国ソルトレークシティーに引き継がれ、感動の16日間を終えた。

 冬季五輪史上最大規模となった大会には、72カ国・地域から約2300百人の選手が参加。日本選手は期待以上に活躍し、史上最多となる金5、銀1、銅4の計10個のメダルを獲得。景気低迷など暗いニュースが多い国内に、明るい話題で活力を与えた。

長野市長からIOC会長へ

長野市の塚田佐市長(右)から国際オリンピック委員会のサマランチ会長に手渡される五輪旗

 悪天候による相次ぐ日程変更はあったが、大きなトラブルもなく、観客総数は約127万人に上った。1964年東京夏季、72年札幌冬季に次いで、国内3度目の五輪を成功させた日本スポーツ界は、大阪市が立候補する2008年夏季五輪招致を目指すことになる。

 天皇、皇后両陛下も出席された閉会式は、冷気が肌を刺す中で始まった。各国・地域選手団の旗手、さらに選手たちが続き、和やかな雰囲気で入場した。国際オリンピック委員会(IOC)のサマランチ会長はあいさつで平和を訴え、「冬季五輪で史上最高の組織運営をした長野および日本を祝福する」と高く評価した。

 五輪旗は塚田佐・長野市長から、サマランチ会長の手を経て、ソルトレークシティーのディーディー・コラディーニ市長へ手渡された。

 サマランチ会長が閉会を宣言し、午後7時13分、冬季五輪史上最南の地にともされた聖火が静かに消えた。暗やみにちょうちんが揺れた。平和へのメッセージを込め、約5万人の観客らが「故郷(ふるさと)」の大合唱。約5000発の花火が祭典のフィナーレを彩った。

 商業化、プロ化、女性参加の傾向が顕著となった五輪は、カナダ選手のマリフアナ問題の対応に揺れた。スキー滑降スタート地点で問題となった自然保護への配慮、五輪施設の活用策も今後の課題として残った。

(1998年02月22日)

驚き、涙、そして笑顔  ナガノの16日間の夢舞台

 雪と氷の上で選手たちが繰り広げた16日間の熱い戦い。相次いだ世界記録、日本選手の活躍、降ってわいたドーピング(薬物使用)問題...。驚きあり、涙ありの夢の舞台を振り返った。

 7日の開会式。聖火を掲げて会場に入ってきたのは、地雷で右手足を失った英国の退役軍人クリス・ムーンさん(35)。子供たちが周りを囲む。メッセージは「平和を、希望を21世紀へ」。  競技が本格化した八日、いきなり度肝を抜かれた。スピードスケート男子5000メートルで欧州3選手が従来の世界記録を上回った。

清水宏保ガッツポーズ

清水宏保のガッツポーズ=1998年2月10日、エムウエーブ

 氷上で最も速い男を決める同500メートル。9日の1回目でトップに立った清水宏保選手(23)が10日、今大会の日本人金メダル第1号に。選手としての清水を育てた父は亡かった。

 11日のノーマルヒルジャンプ。期待の原田雅彦選手(29)は失敗したが、船木和喜選手(22)が銀。驚かせたのはフリースタイルスキー・女子モーグル、里谷多英選手(21)の金だった。カナダ・スノーボード選手がマリフアナ陽性反応により金メダルはく奪処分に。しかし翌12日の裁定で「メダル復活」。

 13日のアルペンスキー男子滑降。選手は環境問題で揺れた国立公園第一種特別保護地域を飛び越えた。

 前半戦を締めくくる8日目の14日。スピードスケート女子500メートルで岡崎朋美選手(26)が銅。「バレンタインデーに父にいい物が贈れた」

 日本ジャンプ陣が今度こそと臨んだ15日のラージヒル。船木が金、原田も最長不倒の銅で「やったよパパは」。スピードスケート1000メートルは清水が銅、堀井学選手(26)は敗れ、勝者にも敗者にも涙が。

五輪マークと船木

日本の金メダルを決めた船木和喜の豪快なジャンプ=白馬ジャンプ競技場

 悪天候でアルペンスキーは16日、3レースが重なる強行スケジュールとなった。

 大会で最も盛り上がったのは17日のジャンプ団体。悪夢の失速から四年、大逆転の金に原田は男泣きした。

 ノルウェーのビョルン・ダーリ選手(30)が18日のスキー距離男子リレーで冬季五輪史上最多の7個目の金に輝いた。

優勝した西谷のレース

男子500メートル決勝 優勝した西谷岳文=ホワイトリング

 19、20日、荻原健司選手(28)が出場したノルディック複合団体で日本は五輪3連覇成らず5位。20日の女子フィギュアは米国のタラ・リピンスキー選手(15)が冬季五輪史上最年少の金を取り「表彰台に一晩中立っていたい」。

 21日のスピードスケート・ショートトラック男子500メートルは、ぶっちぎりで西谷岳文選手(19)が金、力走の植松仁選手(23)も銅を取った。

 最終日の22日は男子距離50キロでダーリが8個目の金。北米プロリーグ、NHLの参加で話題の男子アイスホッケーはチェコがロシアを破り王座に。そして聖火は消えた。次に会うのは21世紀、米ソルトレークシティーだ。

(1998年02月22日)

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