2011年10大ニュース

 共同通信社と全国の加盟新聞社、民放契約社の編集・論説担当者らが報道現場の視点から選んだことしの十大ニュースが決まった。

 国内ニュースでは、未曽有の被害をもたらした東日本大震災とレベル7の東京電力福島第1原発事故を無投票で1位とし、2位以下を選定。東電の計画停電が6位、中部電力浜岡原発の停止が7位と、震災、原発事故関連が計3項目入った。

 2位は首相交代。政権交代から2年で首相は3人目。サッカーの「なでしこジャパン」世界一という数少ない明るいニュースが3位に選ばれた。

 国際ニュースでは、集計終了後に北朝鮮の金正日総書記死去というニュースが飛び込み、加盟社に追加アンケートを実施した結果、1位とした。

 昨年5位の欧州危機はさらに拡大し2位に。中東民主化とカダフィ大佐死亡、ビンラディン容疑者殺害が続いた。福島原発事故の余波は全世界に及び、欧州では歴史的な脱原発の流れが起きた。

 超円高は大震災、欧州危機とともに日本経済の足を引っ張った。国論を二分した環太平洋連携協定(TPP)について、野田佳彦首相は交渉に参加する方針を表明した。

 写真:陸に押し寄せて家屋をのみ込む大津波=3月11日、宮城県名取市で共同通信社ヘリから

国内ニュース

【1位】東日本大震災と東電福島第1原発事故

 3月11日午後2時46分、宮城県沖約130キロを震源とした地震が発生。震度7、マグニチュード(M)9・0と日本の観測史上最大規模で、東日本大震災と名付けられた。死者・行方不明者は大津波に襲われた岩手、宮城、福島、茨城、千葉各県の沿岸部を中心に約2万人を数えた。

 被害額は16兆9千億円で阪神大震災の1・8倍。政府は5年間の集中復興期間で19兆円が必要と想定する。だが初代復興対策担当相が暴言で辞任するなどの政治の不手際や、復興財源に充てる増税の調整にも手間取ったことから、復旧・復興は遅れ気味だ。

 震災に伴い東京電力福島第1原発では全電源が失われて原子炉が冷却できなくなりメルトダウン(炉心溶融)が起きた。

 さらに水素爆発で大量の放射性セシウムが大気中に放出され、東日本の各地で検出された。国際評価尺度ではチェルノブイリ原発事故と同じ最悪のレベル7と判定されたが、12月には野田佳彦首相が「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束した」と宣言した。

 写真:米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)が公表した、3月14日に撮影された福島第1原発の衛星写真(デジタルグローブ・ISIS提供・共同)

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【2位】菅首相が居座りの末退陣、ドジョウ野田内閣誕生

 6月の民主党代議士会で菅直人首相は「一定のめどがついた段階で若い世代に引き継ぎたい」と辞意表明後、3カ月も居座り8月末に退陣した。後任の野田 首相は「ドジョウらしく泥くさく政治を前進させる」。

 写真:衆院本会議で首相に指名され菅首相(中央)、民主党の海江田万里氏(右)らの拍手を受ける野田佳彦氏=8月30日

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【3位】サッカー女子W杯、なでしこジャパン世界一

 7月にドイツで行われたサッカーの第6回女子ワールドカップ(W杯)で日本代表「なでしこジャパン」が米国を破って初優勝。欧米勢以外での初制覇で、チームには国民栄誉賞、紫綬褒章が贈られた。

 写真:サッカー女子W杯決勝で米国を破り初優勝、トロフィーを掲げて喜ぶ沢(中央)ら「なでしこジャパン」=7月17日、フランクフルト(共同)

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【4位】円が戦後最高値を更新、円売り介入、輸出産業苦境に

 震災直後、約16年ぶりに戦後最高値を更新、円売り協調介入で85円台まで戻したが、欧州危機が深刻化した10月末には1ドル=75円32銭と再び更新した。政府は単独介入したが超円高は常態化し、輸出産業に影響が。

 写真:円相場を示すボード=10月31日、東京・東新橋


【5位】野田首相がTPP交渉参加を表明

 貿易やサービスの自由化を図る環太平洋連携協定(TPP)交渉へ参加する方針を野田首相が11月に表明、オバマ米大統領に伝えた。アジアの経済成長を取り込む狙いだが、農業団体を中心に反対の声が強い。

 写真:オバマ米大統領(右)との会談に臨み、握手する野田首相=11月12日、米ハワイ・ホノルル(共同)


【6位】東電が初の計画停電、夏は15%節電

 電力不足で東電は震災直後から、地域ごとに交代で電気を止める「計画停電」を初実施。7月には東電と東北電力管内で約37年ぶりの電力使用制限令が発動され、大企業は15%削減を強制された。自動車メーカーが輪番休業するなど影響も。

 写真:東京電力の計画停電実施予定で大幅にダイヤが変更され、混雑するJR新宿駅=3月14日


【7位】政府要請で浜岡原発停止、九電ではやらせメール問題

 5月に菅首相が東海地震の震源域にある浜岡原発(静岡県)の全原子炉の運転停止を要請、中部電力も受け入れた。6月には玄海原発(佐賀県)の運転再開に向け、九州電力が国主催の説明番組に賛成意見を投稿するよう子会社などにメールで呼び掛けたことが発覚、社長の進退問題に。

 写真:中部電力浜岡原発=5月13日、静岡県御前崎市で共同通信社ヘリから


【8位】大阪ダブル選で橋下氏、愛知トリプル選で河村氏側完勝

 11月の大阪市長選で「大阪維新の会」代表で府知事を辞め出馬した橋下徹氏が圧勝、知事選も同会幹事長の元府議が当選した。2月の名古屋市長選では「減税日本」公認の河村たかし氏が大差で再選され、愛知県知事選は連携する前衆院議員大村秀章氏が初当選。住民投票で解散した市議会の出直し選では第1党に。

 写真:万歳する大阪市長選当選の橋下徹氏(左)と府知事選当選の松井一郎氏=11月27日、大阪市北区


【9位】小沢民主党元代表を強制起訴、元秘書3人は有罪

 小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件で検察官役の指定弁護士は1月、政治資金規正法違反の罪に問われた元秘書3人と共謀したとして小沢元代表を強制起訴。元代表は10月の初公判で全面無罪を主張した。元秘書3人には9月に有罪判決。

 写真:初公判のため東京地裁に入る民主党元代表の小沢一郎被告=10月6日

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【10位】八百長問題で大相撲春場所中止、25人が角界追放

 現役関取らによる「八百長メール」が2月に発覚。日本相撲協会は3月の春場所を中止、八百長に関与したとして力士、親方ら25人を引退勧告などの処分で追放した。

 写真:大相撲春場所の中止を発表し、記者会見で謝罪する日本相撲協会の(左から)出羽海理事、放駒理事長、村山弘義副理事長、二所ノ関理事=2月6日、東京・両国国技館

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国際ニュース

【1位】北朝鮮の金正日総書記が急死、世界に波紋

 北朝鮮の最高指導者、金正日総書記=朝鮮人民軍最高司令官=が12月17日、死去した。69歳。急性心筋梗塞とされた。1948年の建国以来同国を率いた父親の金日成主席=94年死去=から権力を継承し、2代にわたり北朝鮮を統治した。正日氏の三男、金正恩氏(28)を中心とした後継体制が混乱なくスタートできるか、同国の核兵器・ミサイル開発や拉致問題がどうなるかが焦点となった。

 写真:12月、北朝鮮の金正日総書記が死去。写真は2010年10月10日、軍事パレードを金正恩氏と観閲する金正日総書記(左)=平壌(共同)

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【2位】欧州の財政危機拡大、政権交代相次ぐ

 2009年にギリシャで表面化した欧州の財政危機はアイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアなどに拡大。11月にイタリアのベルルスコーニ首相が辞任するなど、各国で政権交代が相次いだ。12月の欧州連合(EU)首脳会議では財政協定の創設や、国際通貨基金(IMF)に最大2千億ユーロ(約20兆7千億円)を拠出し、危機対応に充てることで合意した。

 写真:12月6日、アテネの議会を警備する警官隊に火炎瓶を投げるデモの参加者(ロイター=共同)


【3位】中東に民主化の波、カダフィ大佐死亡

 1月のチュニジアの政変をきっかけに民主化要求運動「アラブの春」が中東全域に広がった。チュニジアでは強権的なベンアリ政権が崩壊。エジプトではムバラク政権が倒れ、国会選挙を実施した。リビアでは10月、最高指導者カダフィ大佐が反体制派との戦闘で死亡。反カダフィ派が全土を制圧した。シリアのアサド政権は反体制デモの弾圧を続け、死者は5千人を超えた。

 写真:中東に民主化の波が押し寄せ、強権的な政権が倒された。写真は(前列左から)イエメンのサレハ大統領、リビアのカダフィ大佐、エジプトのムバラク大統領(肩書は当時)=2010年10月、リビア中部シルト(AP=共同)

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【4位】米特殊部隊がビンラディン容疑者を殺害

 米特殊部隊は5月、パキスタンの首都イスラマバード郊外で、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の隠れ家を急襲し、同容疑者を殺害した。米国は01年の米中枢同時テロの首謀者として行方を追っていた。

 写真:5月、米特殊部隊がウサマ・ビンラディン容疑者を殺害。写真は1998年、アフガニスタン国内で撮影されたもの(AP=共同)


【5位】タイで大洪水、日本企業が操業停止

 7月から続いた大雨の影響で、タイ各地で大規模な洪水が発生した。10月には日系企業も多く入居するアユタヤ県やパトゥムタニ県の工業団地が浸水。自動車・電子機器メーカーに部品を供給する企業の工場が11月中旬まで操業を停止した。生産や販売への影響が世界に広がった。

 写真:タイの大洪水により孤立したホンダの工場=10月10日、タイのアユタヤ県(ロイター=共同)

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【6位】東電福島第1原発事故で欧州に脱原発の動き

 スイスは5月、東京電力福島第1原発事故を受け、34年までに既存の原子炉5基を停止させる脱原発の政策を決めた。ドイツ政府も6月、従来のエネルギー政策を転換し、22年までに国内原発17基を全て停止する改正原子力法案などを閣議決定した。福島原発事故後、主要国(G8)での脱原発決定は初めて。イタリアでも6月の国民投票で、原発再開にストップがかかった。

 写真:ドイツのケルンで約20万人が参加して行われた反原発デモ=3月26日(AP=共同)


【7位】米国で反格差デモ、世界へ拡大

 9月、米ニューヨークで無職の若者や労働組合員、非政府組織(NGO)メンバーらが貧富の差の広がりに反対する「反格差デモ」を始めた。代表的な金融機関が集中するウォール街近くの公園に寝泊まりし、少数の富裕層への反発を示した。10月の世界一斉行動日には、東京などアジアや欧州にも波及した。

 写真:米ニューヨークで、反格差社会デモ「オキュパイ・ウォールストリート」に合流した労働組合のメンバーら=10月5日(AP=共同)


【8位】ニュージーランド地震で日本人28人死亡

 ニュージーランド南島クライストチャーチ市付近で2月、マグニチュード(M)6・3の直下型地震が発生。市中心部のビルが倒壊し、留学中の日本人28人を含む180人余りが死亡した。

 写真:地震で倒壊したニュージーランド・クライストチャーチ中心部の「キングズ・エデュケーション」が入るビル。富山外国語専門学校の生徒らが巻き込まれた=2月22日(AP=共同)

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【9位】米アップル創業者ジョブズ氏が死去

 米電子機器大手アップルの共同創業者で前最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ジョブズ氏が10月、56歳で死去した。一時アップルを離れたが、1997年にトップに復帰。多機能携帯電話や多機能端末などで次々と革新的な製品を生み出し、経営不振だったアップルを世界最大のIT企業に導いた。2004年に膵臓(すいぞう)がんを治療していた。

 写真:10月、スティーブ・ジョブズ氏が死去。写真は2010年6月に米サンフランシスコで「iPhone(アイフォーン)」を発表するジョブズ氏(AP=共同)


【10位】中国高速鉄道で追突事故、40人死亡

 中国浙江省温州市で7月、北京発の列車が、前を徐行していた同省杭州発の列車に追突、前4両が高架から落下して40人が死亡、約190人が負傷した。自動列車制御装置の不具合が原因とみられている。事故後はメディアやネットで鉄道省批判の声が沸き上がったが、中国政府は強権的な手法で、こうした世論を封じ込めた。

 写真:高速鉄道事故から一夜明け、多数の救助隊員らが活動する現場=7月24日、中国浙江省温州市(共同)


選考の手順

 2011年の十大ニュースは次のような手順で選ばれた。

 共同通信の編集関係各部が専門分野を中心に主要ニュースを提案し、編集委員室が国内、国際各30項目を候補に決めた。

 投票したのは共同通信の編集関係部長と支社局長、全国の加盟新聞社の編集、論説の責任者、民放契約社の報道責任者ら242人。

 国内ニュースは「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故」を無投票で1位とし、それ以外の候補から9項目に順位を付けて投票。国際ニュースは10項目投票し、それぞれ点数化して決定した。

 集計終了後に金正日総書記が死去し、加盟社の編集責任者に追加アンケートを実施。金氏死去が国際の1位となった。

加盟社10大ニュース

過去の10大ニュース

国内ニュース(2011年)

国際ニュース(2011年)

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