野田内閣発足
野田佳彦首相は13日、衆院本会議で就任後初めての所信表明演説を行った。財政再建と経済成長の両立を目指し、昨年6月に閣議決定した「新成長戦略」を拡充する「日本再生の戦略」を年内に取りまとめる方針を明らかにした。これを含めて国家の重要政策の司令塔として、新たな会議の創設を確認。東日本大震災からの復興と社会保障の財源確保に向けた増税路線は堅持する。復旧・復興と経済危機対応を最優先課題に掲げ、2011年度第3次補正予算案の早期編成に取り組む考えも表明した。
首相は「国難から日本を再生していくため、この国の持てる力の全てを結集しよう」と野党に協力を呼び掛けた。東京電力福島第1原発視察をめぐる不適切な発言で鉢呂吉雄前経済産業相が辞任した経緯に触れ、内閣一丸となって信頼回復を図ると強調した。
政府の震災復興基本方針に基づき復旧・復興を加速させるとともに、原発事故の早期収束を「国家の挑戦」と位置付けて全力を挙げる意向を表明した。「福島の再生なくして日本の信頼回復はない」として、原発被害者への賠償や除染作業を急ぐと力説。被災自治体の要望に効率的に対応する復興庁の早期設置に意欲を示した。
急激な円高に対して「あらゆる政策手段を講じていく必要がある」と指摘。緊急経済対策として企業立地を後押しする補助金拡充に加え、日本企業による海外企業の買収支援、資源権益の獲得支援を打ち出した。
来年夏までに政府のエネルギー基本計画を見直し「中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていく」と言明。同時に、定期検査で停止中の原発は、安全確認と地元理解を前提に再稼働を進めると表明した。
一方、財政状況を「最悪の水準」と分析。復興財源は歳出削減と国有財産の売却などで捻出した上で、経済状況も見極めながら「時限的な税制措置」を多角的に検討する。社会保障財源も10年代半ばまでの消費税率引き上げを明記した「社会保障と税の一体改革」に基づいて与野党が協議し、来年の通常国会に法案提出する方針を確認した。
日米同盟を外交の基軸として、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設に向けた日米合意の順守を明言。米政府が求める環太平洋連携協定(TPP)の参加に関しては「早期に結論を出す」と述べた。衆参両院の「1票の格差」問題に対応する選挙制度改革にも触れ「与野党の真剣な議論」に期待を寄せた。
写真:衆院本会議で所信表明演説をする野田首相=13日午後
組閣 国会で首相指名を受けた新首相が閣僚を選び、内閣を組織すること。天皇による首相の任命式、閣僚を「国務大臣」とする認証式を経て正式発足する。閣僚数は17人以内で、憲法の規定で閣僚の過半数は国会議員から選ぶ。通常は官邸入りした新首相が「組閣本部」を設置し作業が始まる。内定した新閣僚を順次呼び込み、閣僚名簿を発表。認証式などを終え皇居から戻った首相や閣僚は、初閣議に臨み、記念撮影や記者会見も行う。
認証式を終え、記念写真に納まる野田首相(前列中央)と新閣僚=2日午後、宮殿・北車寄
衆院本会議で首相指名を受け、一礼する民主党の野田佳彦代表(中央)。右端は菅首相=30日午後1時37分
野田新首相について報道する30日の中国の新聞(共同)
職員から贈られた花束を手に、首相官邸を後にする菅首相=2日午前