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攻めながら、引く勇気

大震災の現場取材

 9万人近くの死者・行方不明者が出た四川大地震。強烈な死臭や消毒臭が漂い、大量のほこりが舞う現場の取材は危険と隣り合わせだった。

 取材中にも起きる余震、二次災害や感染症の恐れ、当局による取材規制・。取材をためらう要素はたくさんある。しかし、行ってはいけないといわれるその先にニュースはある。細心の注意を払い、引き際を意識しつつその先を目指した。

 現場はどこも取材拠点から車で2時間近くかかる。そして目的地までの道のりすべてが被災地だ。何か新しい被害があるかもしれない。深い亀裂が入り、道の半分を崩れた土砂が覆う道路を走りながら、常に周囲に目を凝らしてニュースを探した。

 目的地では30℃近い暑さに加え、悪臭やほこりがのどや鼻を刺激する。病院の倒壊現場に行けば足元に注射器が落ちているし、歩いている横を走り抜けるトラックが、積んだがれきを足元に落とすこともある。そしていったん被災地に入れば、出るまで食事を取ることもできない。

 映像取材は1カットでは済まないため、一つの現場に長時間とどまって取材を続けることになる。そしていったんカメラを回し始めたら、止めるまでその場を離れることはできない。倒壊寸前の建物の横や、土砂崩れ現場の脇、亀裂が入ったビルの上に上がっての取材は大きな余震が起きないことを祈りながら続けた。

 未曾有の被害をもたらした大震災の現場取材は好奇心を持って現場に踏み込んで行くだけでなく、健康や衛生面に注意を払うこと、そして常に危険を回避する勇気を持つことが重要だ。(ビジュアル報道センター映像音声部 三輪典夫)

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