表と裏の情報で真相に
防衛省裏金問題の闇

取材活動は国内外、部署を問わず、大きく二つに分けられる。一つは当局の発表もの、記者会見の類で、いわば取材対象が発信する情報。もう一つは埋もれた事実を発掘する作業だ。これらは表裏一体で、双方の情報を重ね合わせることで真相が見えてくる。
防衛省裏金問題で、これを痛感した。発端は1997年度から2005年度までの報償費予算額と決算額が1億2319万7千円で一致している公表データ。報償費は事務を円滑に行うため機動的に使用すると定義されている。予算と決算の金額が9年間も合致するのは不自然との疑問が出発点になった。
取材の結果、OBらの名前を使い協力者から情報提供を受けたと見せかけて架空の領収書を大量に作成、報償費を表向きの収支上は使い切った形として裏金に変えていた事実が判明した。プール金の総額は少なくとも数千万円に上り、省内の飲み食いや幹部の私的流用など不正の温床との複数の証言も得て2007年末に特ダネとして配信した。
防衛省は2008年7月、報償費の不適切な管理を認め、使途を明確化する改善策を発表したが、不適切な事例は「情報収集に支障を来す」「記録が残っていない」と公表を拒否した。防衛省の闇は深い。当局が隠す不正、真実に迫るために表の情報を軽視せず、裏側を追及していく姿勢を持ち続けていきたいと考えている。(編集局政治部 久江雅彦)
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